株式会社美装ジャパン | ものづくりは「人」づくりにあり。眼鏡の美しさを支えるチタンの技術。
「1987年に水落町の小さな工場で、6、7人ほどの従業員で創業しました。そこからだんだん顧客が増え、社員も増えてきて、平井町に移転しました。チタン材や形状記憶合金など様々な素材にもメッキをつけようとチャレンジをしてきて、現在に至ります。」
美装ジャパンはメッキの企業として、開発型技術集団として不可能を可能にするチャレンジ精神を掲げ、多種多様な表面処理を自社開発してきました。
メッキとは、金属の表面に薄い金属の被膜を形成する技術で、この被膜は金属の見た目を華やかにするだけでなく、防錆性や耐久性を向上させる役割も兼ね備えています。
美装ジャパンでは、メガネフレームを主力としながらもペンダントトップやリングなどのアクセサリー、歯の矯正ワイヤーの商品にも表面加工を施しています。
お話を伺ったのは製造部長の若林さん(左)と入社10年目の田中さん(右)。
若林さん:「彼女のことは、入社したときから見てきました。仕事はできるっていうのはもちろんあるけど、その他に、コミュニケーションが取るのがうまい。近い将来ね、管理者になってほしい。それぐらい私が期待をしている人材です。」
若林さんの期待の言葉をまっすぐに見つめ、力強く頷く田中さんの姿に確かな信頼関係を感じました。
技術と同時に、人間力を高めていく。それが美装ジャパンの人材育成。
田中さんは高校を卒業されてから、新卒で入社し、今年で10年目を迎えます。
どのような10年間だったのでしょうか。
田中さん:「10年間勤めて、4つの部署を転々としましたが、その部署特有のやりがいがあります。あと、幅広い年齢層の社員いるので、先輩は優しく教えてくださいますし、後輩もそれを見習って一生懸命仕事するっていう感じです。だから、10年続けられたかなって思います。」
若林さん:
「私が製造責任者になってから、中堅社員だけでなく若手社員もジョブローテーションを組むことにしてみたのですが、田中さんを見ているとしっかり成長してくれて良かったと心から思いますね。
これが上手くいくと、10年、15年後にはみんなが全ての部署を回れるようになり、仕事ができるようになるという理想がありますが、実際にはなかなか難しい…。でも、彼女を筆頭にみんなとても頑張ってくれていますよ。」
地場産業を心から誇れる仕事に。
鯖江出身のお二人が、鯖江の地場産業に携わるきっかけになったのはどういったことがきっかけだっだのでしょうか。
田中さん:「幼少期から、眼鏡の仕事をする母親を見てきたので、自分もちょっとそういう仕事してみたいなと思いました。就職を考えていた時期に、何社か見学に行ったんですが、他の会社はみんな黙って仕事をしているイメージがあり、いざ行ってみるとやっぱりそんな感じでした。でもこの会社は、みんなわからないことがあったらすぐに声を掛け合っていました。手取り足取り教えてもらえる。そういう雰囲気がいいなと思い入社を決めました。」
お二人は地場産業への憧れや誇りを持つ一方で、地場産業を軽視する地元の雰囲気を感じると言います。
若林さん:「僕らの学生時代は、特に眼鏡業界に対するイメージはあまり良くありませんでした。優秀な学生は大企業に進む一方で、学力が不足する者は眼鏡業界に押し出される傾向がありましたからね。『お前は眼鏡屋でもいっとけ』と先生に言われるのです。だから、僕は、最初に入ったのは眼鏡に関する会社ではありませんでした。」
親からの紹介で美装ジャパンに入社した若林さん。当時は、どんなことをやっている会社かよく調べずに、軽い気持ちで飛び込んだそうですが、すぐにメッキのおもしろさにのめり込みました。胸を張って、メッキ屋をやっていると言えるような産業にしていきたいと語ります。
機械だけでは、何かが足りない。全自動化をやめて、手作業に戻した。
美装ジャパンではあえて機械の全自動化をやめて、手作業にこだわっているそうです。
手作業の細かさに驚きますよとワクワクする若林さんに連れられ、工場に入ると、女性がずらり。
美装ジャパンでは、現在約45名の従業員の方がおり、そのうち女性が6.5割を占めています。
メッキを付ける作業は男性社員が行い、メッキをつける前の段取りやメッキのついたものの検査を女性社員が担います。
「自動機は、色が薄く仕上げてしまうなど不良が出ることも多かった。手作業だったら、色が薄いなどの問題が見つかったらすぐに修正できるというメリットがあります。
MSIという美装ジャパン独自の染色技術がありますが、塗りを均一にする必要があるため、熟練した職人による手塗り技術が求められます。竹串でフレームを塗る作業を見せると、見学に来られた方々は口を揃えて、こんな細かい手作業初めて見たとおっしゃいますよ。」
1本1本、眼鏡のフレームに色を入れていきます。様々な角度から確認し、綿棒ではみ出している部分を修正しています。この工程だけでも、非常に時間と手間のかかる作業です。
こちらは、製品にメッキをつけている現場です。ストップウォッチで薬品に付ける時間を計測して、色の濃淡を出していきます。30秒で、全く違う色に仕上がってしまうとか。
溶液が入っている複数のタンクに、流れるようなスピードでじゃぼん、じゃぼんと次から次へと付けていきます。
社内でたくさん失敗してもいい。そうして、社外でも頼られる人材になっていく。
現在は、田中さんは新商品開発の仕事に挑戦しています。
メーカーさんの希望している色をどのように出すか考えたり、図面を書いたり。技術はもちろん、全体の工程も頭に入れながら、製品化に向けて社外の方々ともコミュニケーションが必要となる、一番大事な部署です。
田中さん:「やっぱり失敗して怒られることもあります。でも若林さんは「次は気を付けよう。次に生かしていこう」言ってくださります。なので不安は捨てて、失敗したらすぐ相談。次の仕事に繋げようと心がけています。」
若林さん:「田中さんはね、どんどん仕事をするから、どんどん不良品も出る(笑)
でも、次にどうしようかと頭を絞らなければ覚えられない。きついこと言った瞬間はしょんぼりとするけど、彼女の場合はすぐ切り替えてくれる。」
社内で失敗して立ち直ることの重要性は、若林さん自身も体験してきたことだと言います。 若林さん:「僕が若いときは、先代の社長にみんなの前で怒鳴られた。不良品があれば、メーカーさんにも怒鳴られた。悔しいこともあったけど、怒鳴られたおかげで、自分はこうして成長してきたと思う。今では、僕に対してそのメーカーさんが敬語で話かけてくれている。メーカーさんが困ったときは相談に乗れるし、逆に自分が困ったときには助けてもらっている。これまでの経験が今やっと芽が出てきたかな。だから彼女はまだまだ怒られなければいけない。それでもって立ち上がってくる子が将来伸びてくると思うから頑張ろう!」
入社してまず1か月は人間観察から。
俺は人間味あふれるやつを育てていきたいと話す若林さんに、どんな方に入社してほしいですか?と尋ねると、「とにかく明るい子がきてほしい!」と笑顔で答えて頂きました。
若林さん:「僕が入社した当時、先代の社長から『先ずはみんなの名前を覚えなさい。そのうちみんなが助けてくれるから。人を大事にしないと自分を助けてくれる人もいなくなる』と言われたことがとても印象的で、だから僕も新入社員には入社後1ヶ月間は作業を覚えなくていいと伝えます。とにかく一緒に働いている人の名前覚えてもらい、この会社の雰囲気を感じ取ってほしいです。その中で少しずつ環境と人に慣れていくことが大切だと思っています。個人差はあるけども、分からないことをきちんと聞ける人になれたら絶対に技術も伸びてくる。自分から聞ける子は、周りもかわいがってくれるからね。
信頼感や協力関係が、技術の向上に大きく寄与するという考え方は美装ジャパンの人材育成そのものです。売り上げを上げる、不良品を少なくする、良品を安く早く出荷するというのは社員教育ではない。
みんなそれぞれの思いやりを持って、周りの人と協力をするから良いものが出来上がるという美装ジャパンの信念に共感する人も多いのではないでしょうか。
美装ジャパンでは、新卒・中途採用の両方されており、未経験者でも歓迎しています。
新しい土地、新しい環境で仕事を始めるのは、不安なことが大きいと思いますが、美装ジャパンなら1つ1つ技術力も人間力も高めていけるような環境ではないでしょうか。
興味のある方はご連絡を。
▼連絡先
株式会社美装ジャパン 詳細はこちら
TEL::0778-62-0012
Mail:info@biso-japan.co.jp (担当:加藤)