福島織物|羽二重織りと産業資材、伝統も革新も織り成す幅広い仕事。

「鯖江は、繊維を一貫して作ることが出来る、全国的に珍しい町なんです。
糸自体を作っている会社から、織る前の準備工程である糸巻きを行う会社、繊維を織る・編む会社、染色加工をする会社など、繊維業界といっても、様々な工程を担っておられる方々がいて、すごく奥が深いんです。」

自社のことよりも、まず初めに鯖江の繊維業界全体について、産地全体が持っている技術や特徴について、丁寧に説明してくださった福島織物さん。

伝統的な技術を残しながらも、織物の技術を生かして産業資材分野に注力し、大手企業と新しい繊維の開発を進めるなど、その前向きな姿勢で鯖江の繊維業界を大きく引っ張り進んでいる会社なんだと感じました。

今回お話を伺ったのは福島織物の代表取締役である、福嶋博志(ふくしま・ひろし)さん。奥様のご実家である福島織物の跡取り息子として入社。平成26年には4代目の代表取締役に就任されました。

現在、福島織物では、歴史ある絹を使った羽二重織物の製造と、合成繊維(代表的なものではポリエステル・ナイロンなど)でつくる産業資材といった、2つ商材を製造されています。

 

鯖江が誇る最高級の羽二重を織り続けるために。

 

「福島織物は、先代が大正7年に羽二重織物を製造する会社として、神明地区に創業しました。羽二重というと、皆さん羽二重餅を連想されるのですが、それは福井県の有名なお菓子でして…(笑)
羽二重織物は、『福井羽二重』とも呼ばれる、シルク(絹)を使って織っている最高級の織物です。」

「うちで生産している羽二重の生地は、主に着物の裏地として使われます。つるっとした綺麗な生地が着物の裏地に合うのです。」

羽二重を織る本社工場は、学校の木造校舎を移築して工場に変えたもの。細長い廊下があり、教室だったであろう各部屋は、工程ごとに機械が設置されており織機の音が絶え間なく鳴り響く歴史を感じる工場です。

「羽二重というのは、強度を出すために経糸を二重にして、平織という手法で経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に織っていく繊維です。

福井の羽二重織りの特徴は「ぬれよこ」という古来から伝わる技法で作られています。海藻の一種である天然の布海苔を、経糸に含ませ、緯糸を水に濡らして平織で織ると、風合いの良いふわっとした綺麗な織物に仕上がります。」

工場の1階には水を張ったバケツに絹糸が浸かっていました。そして工場全体がしっとりとしていると感じました。

 

受け継がれてきた技術と設備を生かして。

 

「今も羽二重織物を生産していますが、大きな課題があるんです。近年、日本人の着物離れがどんどん進んでいまして、一般の方は着物を着るといっても結婚式ぐらいになってしまいました。昔は冠婚葬祭の度に着物を来ていましたが、洋装に取り変わっているというのが現状です。」

「着用シーンが減っているのも課題のひとつなのですが、一番悩ましいのが原料である絹(シルク)の高騰です。羽二重の最高級のもので原料が1キロ9000円程度です。一方、合成繊維の値段は1キロ数百円程度なんです。

日本で養蚕をしている会社も現在数社しか無く、純国産の絹糸を確保するのが難しい状況です。うちは、中国の会社と提携し、生産してもらった糸を輸入して使用しています。昔、福井は養蚕の産地だったので、羽二重織物を織っている会社が何十社もあったと言われていますが、残念ながら現在残っているのは5社程度かと思います。」

工場の2階には、480個の糸巻が並び、整経(経糸を整える工程のこと)が行われています。これから作りたいと思っても作れない、揃えることも出来ないであろう歴史を感じる貴重な設備が福島織物の本社には残っており、まだまだ現役で稼働しているのです。

「苦しい状況ではありますが、私たちはこのような羽二重を生産できる工場を持っているので、失われてしまわないようにできるだけ継続し、社会に貢献したいという思いがあります。最近では着物の裏地だけではなく、博物館で展示品に敷く布として使用されていたり、国宝や重要文化財の保管に使用されるなどして、新しい使い方を考えて多用途に使用していただいています。

様々な重要な場所で使用していただいていることは、ものづくりをしている立場として誇りに思います。

 

鯖江の繊維を未来へ残す一手は「産業資材」。

 

時代やライフスタイルの変化から、この先羽二重織物だけでは厳しくなっていくことを見越した現会長は、30年程前から「合成繊維を活かした産業資材」を作ることに注力し始めました。神明本社から数分の神中町に新工場を建て、合成繊維を織るための設備を整え、様々な合繊の開発を進めて来られました。

「現在、神中工場で作っている産業資材の主力商品は、布テープ用の繊維です。布テープがパリッと綺麗に切れるのは、粘着シートに布が入っているからなんですよ。養生テープと呼ばれ、糊残りがほぼ無く、貼った後も綺麗に剥がせるテープにも使用されており、よく売れています。」

神中工場にある139台の織機のうち、テープ生地を織っている織機は現在100台。なんと2/3以上の機械が布テープの資材を作っています。一か月の生産量は約150万m。これはテープ150万個分になるそうです。現在、国内で合繊の布テープの生地を織っているのは数社のみで、そのうちの1社である福島織物は全体の6割を生産しておられます。

「会長の『用途がわかるようなものを作りたい』という思いから、産業資材である布テープの生地に目を付けて、大手繊維企業である帝人株式会社と組んで、ポリエステルの布テープ開発を進めてきました。」

日本ではおなじみの布テープですが、なんと日本だけの文化なのだとか。近年海外展開を進め、日系企業を中心に売れ始めたところなんだとか。

 

様々なところで活躍する福島織物の合繊

 

神中工場は羽二重を織る神明の本社工場とは違い、広い工場空間に近代的な機械がずらっと並んでいます。

「布テープの他にも、『ケアラベル』と呼ばれる衣類に付いている品質表示や洗濯表示タグの生地を、月12万m作っています。海外からも引き合いがあり、かなりの生産量があります。」

他にも、光ケーブルや海底ケーブルに巻くための資材や、透水防根シートという農業資材にも福島織物の生地が採用されており、幅広い分野での利用があるそうです。

「数年前に大規模に工場整備を行い、生産体制を整えました。様々な資材を開発しているので、情報発信をしたいところではあるのですが、極秘で開発していることが多く、なかなか言えなくて、知ってもらえていないという部分があると思っています。」

福島織物では、1万mを越える長さのロール生地が欲しいという要望にも応えられるほどの、特別な機械が設置されており、設備投資にかなりの力を入れておられることが感じられました。

 

社員には夫婦や親子で働く方も。働きやすい職場環境。

 

広い工場内は、働く方よりも圧倒的に機械数の方が多く、織機の振動音に圧倒されてしまいますが、両工場合わせて30名の従業員さんの中には、誘い合って親子や夫婦で働いておられる方もいたりと、アットホームな環境のようです。

「昨年採用させていただいた方は、新卒の方と50代の方で、合成繊維の神中工場で頑張っていただいています。今までは織りの仕事をメインに採用してきましたが、現在は織機を直したりメンテナンスを担当する技術者も募集しています。」

準備工程では、数千本の糸を1本ずつ穴に通していく根気のいる作業や、ひとつのエリアにある機械を一人で担当し、確認や設定など仕事は様々。30名の従業員さんは、それぞれがプロ意識を持って働いておられました。

「定年は60歳ですが、健康であれば70歳まで働けるように勤務環境を整備しています。歳を取り、細かい作業が厳しくなっても適材適所で活躍できるように受け入れをさせていただいています。」

 

鯖江からキラッと光る商材づくりを。

 

神明本社の羽二重織物は奥様が中心となって営業から検反(織物の欠点の有無を検査すること)を行い、神中工場の産業資材は会長と社長が中心となり、福島織物の二本の柱が成り立っています。

伝統的な織物の継承と、産業資材開発での発展と、幅広い視野を持って両立されている福嶋さんは、鯖江の繊維産地全体の発展にも注力されています。

「鯖江の漆器や眼鏡はいろいろなコラボや新しい商品開発をしていて、メディアにも取り上げられているのですが、繊維は最終製品を作るのが難しいことや、公表できない内容が多いことから、どうやって発信していくのが良いのか悩みどころでもあります。すごい技術を使った商品開発や誰もが知っている商品を作っていたりもするのですが…。

会長とも、よく100年やってこれたねと話すのですが、やはり『品質にこだわり続けたこと』が、長く続いた秘訣ではないかと思っています。」

しっかりと将来を見据えながらこつこつと丁寧に前へ進まれていく福島織物。世界の産業を支える繊維で、未来を切り開いていく大きな会社でした。

現在、人材募集中とのことでしたので、気になる方は、下記から連絡してみてはいかがでしょうか。

 

【福島織物株式会社】
(本社工場)
福井県鯖江市神明町4丁目5-10
Tel:0778-51-1021
(神中工場)
福井県鯖江市神中町2丁目607
Tel:0778-51-5410

webページ:http://www.fukukinu.jp/
mail :fukushima@fukukinu.jp

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