福井県眼鏡協会 | 毎日の暮らしに欠かせないめがねの販売職。一人ひとりに寄り添い、提案する仕事。

福井・鯖江がめがねの一大産地であることは有名ですが、その中心にめがねをかけた建物があるのをご存知でしょうか。その名も「めがね会館」。1階には福井県で生産されるめがねが並ぶ「めがねミュージアム」があり、観光客に人気のスポットとなっています。

今回は、めがねミュージアムでの「めがね販売職」について。めがねのまち鯖江にしかできない仕事をご紹介します。

めがねを見て、触れて、体験できる。鯖江で働く。

めがねミュージアムは北陸自動車道鯖江ICを降りて車で5分ほど走ったところにあります。

オープンは平成22年(めがね会館は昭和59年から)。徐々に知名度を高め、福井・鯖江めがねのブランドを世界に伝えるショップです。

今回話をお伺いするのは、一般社団法人 福井県眼鏡協会 専務理事の伊藤幸彦(いとう・ゆきひこ)さん。福井県庁でお勤めされた後、2018年の4月から眼鏡協会にて勤務されています。

「めがねミュージアムは単なるめがねの小売店ではなく、眼鏡協会が運営する産地直営のショップです。小売機能は持っていますが、産地のブランドを発信する拠点ということに力を入れているところが特徴です。現在は、福井(めがねミュージアム)と東京(GLASS GALLERY 291)の2店舗で、産地直営ショップを展開しています。

福井のお店は、購入していただいた方の8割が県外の方です。それだけ福井・鯖江のめがねの良さが日本全国に知れ渡っていて、観光に来られたお客様が、せっかく来たのだからめがねを買いに行こうとか、もしくはめがねを買うためだけに行こうという方もかなり増えてきました。」

実際にお店を拝見して驚きました。多種多様なめがねが約3000本並べられており、まさにミュージアム。平日午前の取材でしたが、お客様もたくさん来られていました。

「1階ではめがねの歴史を知っていただくための博物館もやっておりますし、めがねの加工技術を体験してもらうために、本物と同じ素材を使ってストラップが作れる工房もやっています。また、丸一日かかりますが、めがねのフレームづくり体験も好評をいただいています。」

眼鏡協会に入社すると、一般の方(使い手)への取り組みと、会員の方(作り手)への業務に分かれるそうです。

「会員の方に対しては、生産されているめがねのブランド発信を行っていきます。日本国内はもとより、外国に向けての発信や展示会出展へのサポート業務があります。」

「日本のめがねは福井・鯖江に懸かっている」という自負。ここでしかできない仕事がある。

「私は4月から眼鏡協会に来ましたが、既に仕事がかなり面白くてやりがいを感じています。現在は、国内外への情報発信などさらなるブランド化を進めていくことや、展示会に出展するだけでなくどのように発展させていくかなど、議論しながら行動していける委員会を作り上げようとしています。」

前職での経験を存分に活かしながら福井・鯖江のめがねを大きく前進させようとしている伊藤さん。他にも挑戦したいことはたくさんあるそうです。

「国産めがねフレームの96%は福井県で作られているので、ほとんどの日本のめがねはここで作られていると言っても過言ではありません。技術レベルも高いです。あとは情報の出し方や見せ方だけだと思っていて、今後伸ばしていける可能性をいくつも秘めています。良いも悪いもここだけですから、携われるのが面白くて。」

日本のめがねは福井・鯖江に懸かっている。伊藤さんに言われて初めて気付きましたが、確かにその通りです。

「ただ、眼鏡協会はそれぞれ一国一城の主(社長さんたち)の集まりなので、考え方がひとつにまとまっていないのが難しいところです(笑)」

眼鏡協会には、めがねの製造に携わる仕事がしたいと直接問い合わせがあるそうで、話を聞いて、向いていそうな会社を紹介されることもあるのだとか。当の眼鏡協会では、求める人材はどのような方なのか伺ってみました。

「お客様相手の仕事なので社交性のある方が良いですね。後は産地の良さを発信していく仕事なので外向けに話ができる方。海外での展示会なども増えていくと思いますので、語学が堪能な方も来てほしいです。」

現在めがねミュージアムのスタッフの中にはめがね関係業務の経験者もいらっしゃるそうですが、未経験でも構わないとのこと。一から勉強したいという方には、専門学校の学費もバックアップしてくださるのだとか。

「その代わり、生涯かけてこの仕事をやっていこうという意気込みのある方に来ていただきたいですね(笑)。意欲や感性をぶつけに来て、スキルアップを目指してほしいです。」

会話の中から求められるものを探す。約40社、3000本の中から一番似合うめがねを提案。

そんな産地中のめがねが集まるめがねミュージアムで働く若手にも、お話を伺いました。

販売スタッフの水野倫菜(みずの・りな)さん。鯖江市出身の22歳です。入社されたのは2017年の12月で、前職は鯖江市内の雑貨店で販売接客の仕事をされていました。

「普通のめがね店と違い眼鏡協会が運営しているため、約40社、3000本ほどある商品はすべて福井県産のフレームしか扱っていません。入社前からこの場所があること自体は知っていましたが、視力が良かったのでめがねをかける習慣が無く、来たことはありませんでした。ほぼ知らない状態で入ってきて、国産へのこだわりに驚いたのを覚えています。」

母親がめがねの部品を作る仕事に携わられていることから影響され、同業の道に進まれた水野さん。接客業なら得意と、挑戦する分野を定めました。

会話をしていく中で、求められているめがねを選んでいきます。

「お客様に似合うフレームを探すのが大変ですが、顔に合わせて細かくフィッティングをしていくというのが現在の仕事です。耳の曲げ位置や鼻パッドの当たり具合で掛け心地が大きく変わってくるため、一人ひとりに合わせた接客が大変ですが楽しいです。最近はファッションの一部としてかけていただく機会が増えているので、視力が良い方にもぜひ触れてみてほしいです。」

めがねをかけるシーンを想定して。産地まで来る意味を生み出す接客とは。

「お客様に似合う1本を見つけたときに「ありがとう」と言われることはとても嬉しくてやりがいに繋がります。特に印象に残っているのが、福岡県からご友人といらっしゃった方がいて、接客させていただいた後、数ヶ月後にまた別のご友人を連れて遠方からリピートしていただいたのが嬉しかったですね。」

基準となるポイントの説明を受けながら好みを把握していき、案内していただきます。

1日の来場者は多いときで600名、イベント時は1000名を超えることもあるといいます。県外の方が多いため、地元出身ということを活かして鯖江の話で盛り上がることが多いのだとか。

「福井県はめがねの生産数は多いのですが、販売店が少ないので販売数は少ないんです。少ない中でも当店はかなりの販売数を誇っています。めがねの接客業は男性スタッフがたくさんおられる店舗が多いのですが、めがねミュージアムでは女性も多く働いているので、働きやすい職場だと思います。」

カラーが変わると印象が大きく変化するので、いくつかかけて比較します。

めがねミュージアムでの仕事は世界に誇る国産めがね生産地の中心で働く誇り高い仕事です。高品質な商品の中からその人だけの一本を提案する、やりがいのある内容だと感じました。

【連絡先】
一般社団法人 福井県眼鏡協会
0778-52-9111(9:00~17:00)
info@megane.gr.jp

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