川口サマンサ | カナダ、東京を経て、鯖江から世界へSDGsを発信中。

いつも鯖江市の魅力的な仕事と働き方を紹介している「さばえの仕事図鑑」。

働くのは良いけど、実際に住んで子育てをして、となると大変なんじゃないか……と考えておられる方もいるのではないでしょうか。

生活環境を変えることはそう簡単ではありません。仕事も暮らしも、すべてが理想通りというのは難しい。いざ住んでみると、その土地の魅力の裏に厳しさが隠れていることもあります。

実際に鯖江市に移住した人たちは、何をきっかけに移り住み、どのように暮らしているのでしょうか。今回はカナダ出身の川口サマンサさんのケースをご紹介します。

今回、お話を伺ったのは川口サマンサ(かわぐち・さまんさ)さん。

サマンサさんは、カナダのご出身。トロントに生まれ、そこからから130kmほど北に位置するオリリアという、人口3万人ほどの自然豊かな田舎町で育ちました。湖や森が多く、鯖江よりも自然豊かな田舎なんだとか。

鯖江で暮らし始めたのは、2020年10月。鯖江市地域おこし協力隊に就任され、2020年9月にめがね会館の最上階に新設された「さばえSDGs推進センター」を拠点に、SDGsに関する情報を発信されています。

カナダから日本へ来られたきっかけや、SDGsや鯖江との出会いについてお話をお伺いしました。

 

日本文化と趣味のゲームを通して、カナダから憧れの東京へ。

幼いころからゲームが好きなことがきっかけで日本の文化に興味を持ち、日本に住んでみたいと思っていたというサマンサさん。

12歳のころから独学で日本語を勉強を始め、高校生のときには学校のプログラムで日本へ留学、初来日されました。

「通っていた高校には、日本から留学生が来る機会がありました。どうしても日本へ行きたかった高校生の私は、先生と相談して留学のプログラムを紹介してもらい、5ヶ月間だけ京都の北部にある舞鶴市に留学させていただくことができました。

留学中には、舞鶴から近い小浜や高浜町の海に遊びに行っていて、高校生のときに、知らない間に福井に来ていたんだと最近気付きました(笑)」

生まれ育ったオリリアは田舎町だと話すサマンサさん。田舎町で育った反動からか、大都会である東京に憧れを抱きました。友人たちはカナダの大学に進学する中、サマンサさんは高校を卒業した2011年、心待ちにしていた日本への来日を果たしました。

「来日後はデザインが学べる専門学校に入学しましたが、授業が忙しく、生活費や学費を稼ぐ為のアルバイトの時間が取れず1年で辞めることになりました。

専門学校を辞めた後は色々なアルバイトをしていたのですが、2013年に知人から国連の友Asia-Pacificを紹介していただき、国連の友での活動を始めました。」

この国連の友Asia-Pacificとの出会いが、サマンサさんの活動の中心となっているSDGsや、鯖江での暮らしへ繋がっていきます。

 

憧れの東京暮らし、国連の友Asia-Pacificとの出会い。

国連の友Asia-Pacificは、ざっくりいうと国連がやっていることを楽しく広めようという国連本部承認のNGO機関です。私が関わり始めた2013年頃は、MDGsなどに関する様々な資料の翻訳をさせて頂いていました。」

(※)MDGsとは
2000年9月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで採択された開発目標(=MDGs)。2015年までに達成すべき8つの目標として極度の貧困と飢餓の撲滅などを掲げ、達成期限となる2015年までに一定の成果をあげた。

国連の友Asia-Pacificは、様々な自治体や企業、団体と連携しており、2015年には国連サミットでSDGs(※)が採択され、サマンサさんは引き続き翻訳などを通して国連の活動を広めておられたそうです。

(※)SDGsとは
持続可能な開発目標として、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成を掲げている。

鯖江市も国連の友Asia-Pacificと連携している自治体の一つ。
東京で、翻訳等を通して国連の友で情報発信をしていたサマンサさんにも鯖江市のSDGsの取り組みは伝わっていたそうです。

「鯖江市は早くからSDGsに力を入れており、とても活発な自治体で様々な活動をしていました。鯖江が取り組む活動に関わった際に勢いを感じ、鯖江ってすごい、鯖江で何かできたらいいなという思いを持っていました。」

鯖江市では国連でSDGsが採択された2015年以降、「さばえSDGs推進センター」の開設準備を進めており、サマンサさんも国連の友Asia-Pacificを通じてさばえSDGs推進センターができるという話を聞き、いつ形になるのだろうと楽しみにされていたそうです。

そんなサマンサさんに、あるとき『鯖江にSDGsを推進する施設ができるので、鯖江に行き現地で活動するのはどうか?』という声がかかります。

「ずっと鯖江市と何かしてみたいと思っていたので、形はどうであれ行きたい!と伝えました。ですが、私が鯖江に住むのか?東京からいきなり鯖江に移住して暮らしていけるかな?……と、一瞬悩み、考えましたね。」

家に帰り、夫に相談をしたところ、
「行くでしょ!行かないと損するよ?行かないっていう選択肢があるの!?」と、夫のほうがノリノリで、鯖江への移住を応援して下さったのだとか。

北海道出身で東京で出会った夫。福井には訪れたことがなかったそうですが、夫婦で一緒に鯖江への移住を即決されたそうです。

 

鯖江のSDGsへの取り組みははすごい!東京から見ていた鯖江の姿。

実は鯖江市への移住の話が出る前から、サマンサさんは福井に来てお仕事をされていました。

「国連の友が丹南CATVと連携していて、SDGs推進会議で流すために制作された映像の英語ナレーションを収録する為に丹南CATVへ何度か行っていたので、鯖江も訪れていたんです。そのときはまさか移住することになるとは思っていませんでしたが(笑)

『鯖江は良いまちだよ!』という声も聞いていて、鯖江市内を見て回りたいという気持ちはありましたが、仕事で来ているので収録が終わるとすぐに帰るという感じで、観光は出来ていませんでした。」

「仕事で来たときは、鯖江駅と商店街周辺しか行っておらず、まちを見ていなかったので正直、生活できるのかなと思っていたのですが、引っ越してきて初めて8号線を車で走ったときはなんでもある!不便はないんじゃない!?と感じましたね。」

カナダの運転免許は持っていたものの、日本の免許証にうまく切り替えられず、鯖江に来る前に急いで日本の運転免許を取りなおしたそうです。東京時代と比べると、満員電車に乗ることも無く開放的に暮らしていると話します。

 

これまでの経験や、得意なことをフルに活かして。

2020年10月に鯖江に来てからは、さばえSDGs推進センターを拠点に市内外で様々なSDGsを広める活動をしておられるサマンサさん。

活動の一つとして行っている「SDGsの講演会」は、センターで開催することもあれば、出前講座として学校や公民館でやることも。対象も様々で、市内外の女性会やロータリークラブ、企業への社員研修などにも行っておられます。

「鯖江はSDGsの目標5、『ジェンダー平等を実現しよう』という目標を中心に推進しています。講演では、ジェンダー平等のみにフォーカスすることもあれば、SDGs全体について話すことも。センターでのイベント企画も行っており、さばえSDGs BookカフェやSDGs関連の展示を作るなど様々な企画を毎月実施しています。」

取材にお伺いしたときには、5月21日の「対話と発展のための世界文化多様性Day」に合わせて、新型コロナウイルスと文化についての展示をされていました。イラストを描く事や、デザインが得意なサマンサさんは、展示するパネルのデザインもされているそうです。

6月は「プライドマンス」というLGBTQに関する展示を行ったり、SDGsに関する展示を季節や、記念日などに合わせて企画をされています。

「他にも、さばえSDGs推進センターのSNSも担当しています。SDGsは世界全体の問題なので、日英2言語で発信しているんです。鯖江をいろんな国の人に知ってもらいたいと思っていますし、逆に、世界の情報を訳して日本人に向けて共有もしています。センターのSNSは、世界中の方にフォローしてもらっています。鯖江を世界に発信するお手伝いが出来ているかなと思います。」

センターのSNSだけではなく、個人のSNSでも発信をされているサマンサさん。

「外から鯖江に来て思ったことや、海外で起きていること、たまには鯖江のPRなど、日英バイリンガルで発信をしています。」

 

鯖江で活動をしていて感じること

長い間、国連の動きを日本に発信してきたサマンサさん。

「MDGsは開発途上国にフォーカスした内容だったので、自分も含め、日本に住む人たちに理解してもらうのは難しかったように感じました。MDGsからSDGsの切り替わったとき、自分の中での整理に苦労しましたが、SDGsが世界全体の目標になったことでやっと自分ごとになり、開発途上国・先進国問わず、同時進行で全部やれば良いんだと思えましたね。」

「鯖江に来て感じることは、わからないことを勉強してわかるようになりたいという方や、アイデアを出して形にするにはどうすればいいのかと考えたり、一回やってみようとアクションできる方や、ポジティブな方が多いなという印象を持っています。」

「東京にいたときは細かいルールが多くて、動きづらい部分も多少ありました。言われたとおりにやらないとダメというか……。それと比べると、鯖江は人の個性を育んでいくことが上手な町だと感じます。」

東京に憧れ来日されたサマンサさんですが、近頃は「将来的には鯖江にいたい」という思いがあるそうです。

「車さえあれば、特に不便する街ではないですし、夫婦共に、人も、まちも、食べ物も最高!と話しています。地域おこし協力隊の任期が終わっても、鯖江で引き続き今のような活動がしたいと考えています。」

SDGsは地球に住む一人の人としてやって当たり前のこと。だと考えていて、これからも人権啓発活動だったり、SDGsに携わりたい。何らかの形で鯖江に貢献していきたいと話します。

丹南ケーブルテレビでは、6月から「サマンサのLet’s SDGs」という番組が始まるなど、県内のSDGsに対する注目が高まっています。

「さばえSDGs推進センター」を拠点に、毎月様々なイベントを企画されているサマンサさん。イベントに参加してみたり、センターを訪ねてみたりしてはいかがでしょうか。

 

【Samantha in Sabae (さまんさinさばえ)】
http://www.samanthainsabae.com

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