【移住者インタビューvo.1 】株式会社キッソオ 曽根楓美香さん


曽根さんは武蔵野美術大学を卒業後、眼鏡の材料商社として創業し、今では眼鏡やアクセサリーの製造と販売もされている株式会社キッソオ(以下キッソオ)に就職。
入社1年目とは思えないほどの幅広い業務を、生き生きと取り組んでいる姿がとても印象的で、キッソオの吉川社長からも「うちのエースです!」とご紹介いただきました。
就職活動での葛藤、そしてキッソオとの運命的な出会いなど、移住に至るまでの経緯を伺いました。
鯖江との出会いは大学の講師が紹介してくれた一冊の本。
いつか、行ってみたい場所になっていた鯖江。

―鯖江市を知るきっかけ、関わるきっかけとなった出来事を教えてください。
曽根「大学3年生のときに講師が紹介してくれた『おもしろい地域には、おもしろいデザイナーがいる -地域×デザインの実践-』という本の中で、越前鯖江地域で観光産業をメインとしたまちづくりをしている一般社団法人SOE(以下SOE)に興味をもったのがきっかけで、いつか鯖江に行ってみたい!と思っていました。
初めて鯖江に訪れたのは大学4年生の秋で、SOEが開催するRENEWという福井県の三市町で開催される体感型マーケットのボランティアスタッフとして参加しました。
そのあとも滞在型お試し就業プログラム「産地のくらしごと」というイベントにも参加したりと、鯖江で過ごす時間が少しずつ増えていきました。」

※)RENEW・・・福井県鯖江市、越前市、越前町で開催される体感型マーケット。普段出入りできないものづくりの工房を開放し、実際のものづくりの現場を見学・体験できる。
※) 産地のくらしごと・・・就業を目的とした宿泊型合同就活プログラム。就業体験だけでなく、産地を知れる産地ツアーや交流会、企業面談なども開催。
ー鯖江のものづくりに触れる機会がとても多かったんですね。しかし、大学4年生の秋と言えば就職活動を終えている時期かと思います。鯖江の出会いは少し遅いタイミングだったということですか。
曽根「大学4年生になっても希望していた職種での就活は上手くいってなかったんです。何かのポジションに縛られることなく、企画もデザインも、あれもこれもやりたいという思いが面接官には分かりにくく映っていたのだと思います。
たまたま求人があった会社に内定を頂きましたが、自分が志していたものづくりとはかけ離れていたし、年間休日も少なく単一の業務内容に、社会の歯車になっていくような感覚を持ちました。なかなか就職が決まらず焦りもあったので、しょうがないのかな…と迷っていたときに、SOEに就職した大学の先輩からRENEWのボランティアに誘われたことが鯖江とかかわるきっかけになりましたね。」
スーツケースの荷物は、半分着替え、半分卒業研究の材料。
飛び込んだ初めての鯖江。
ー念願の鯖江ですね!就職活動の葛藤を持ったまま訪れた鯖江で、キッソオと出会ったのは運命的ですね。
曽根「やっといける!という気持ちと卒業研究やばい!という気持ち入りが混じっていました(笑)卒業研究が佳境だったので、スーツケースの荷物は着替えと制作の材料を半分ずつ詰め込みました。2日間はボランティアスタッフとして、残り1日は参加者としてまちを回り、工房見学や体験などをしました。
3日目に打ち上げがあって、そこでキッソオの吉川社長と出会いました。たぶん酔っぱらっていたのかな(笑)その時は、ゆっくりと話はできなかったんですけど、すごく楽しそうな人だなというのが第一印象でした。今も印象は変わってませんね。」


曽根「東京に帰り、しばらくするとSOEに就職した大学の先輩から、『産地のくらしごと』に誘われて、3週間のプログラムと1週間のプログラムの両方に参加しました。
キッソオは当初、私のインターンの予定にはなく、本当にたまたま行くことになったんです。
そこで、吉川社長が『通年観光できるように工場をテーマパークにしたいんや!ものづくりだけじゃなく、場づくりもしていくのが夢なんだ!』と語る姿に共感しました。
また、業務内容が自身の学びの領域と近く、スキルも活かせそうだと思い、面接を受けることにしました。」

ー求められるスキルと曽根さん自身が譲らずに挑戦したかった仕事がぴったりと合ったんですね。神奈川、東京都など都市での暮らしから、地方へ移住することに不安はありませんでしたか?
曽根「あまり不安はなかったですね。大学のゼミでも地域デザインを研究していました。
東京から飛び出して日本の過疎地域で1カ月間の滞在型合宿をしていたので、むしろ地方や都市との関係性を考えることには興味がありました。
福井に就職が決まったことを同じゼミ仲間やゼミの先生に伝えると、「いいぞ!行ってこい!」とみんな喜んでくれましたね。
実は、母親はもともとキッソオのアクセサリーを持っていたこともあって、キッソオへの就職をとても喜んでくれました。」
目指すは、新しい商品のデザイン!ブランドマネージャーへ!
―曽根さんはアクセサリー事業部渉外担当されていると伺いました。そこではどのようなことをされているんですか?
曽根「商品カタログの作成、ふるさと納税全般の管理、外部スタッフとの連絡・調整、アクセサリーの図面の作成・修正、直営SHOPでの販売対応など…幅広い業務を任せて頂いています。
最近任せて頂いたものでいうと、アセテートという眼鏡の材料の歴史や特徴の紹介パネルを作成しました。眼鏡に全く知識のないお客様にもテーマパークのように楽しんでいってほしいという社長の想いが伝わるようにデザインしました。業界人やデザイナーの方にじっくりと見ていただく機会も多くとても緊張しますが、アセテートに馴染みのなかった私のような方にも魅力が伝わればうれしいです。」

ー眼鏡の材料を知らない人にとっても非常に分かりやすいパネルですね!
お仕事のやりがいや今後、挑戦してみたいことを教えてください。
曽根「自分で課題点を挙げて、その解決・改善策を提案し、実践ができたときにやりがいを感じます。お客様にアクセサリー同士のコーディネートに関して、私が提案したものが採用されたときとか。なので、今後は商品開発、新しい商品をデザインにも挑戦していきたいですね。ゆくゆくはブランドマネージャーになりたいです!」

教えて!鯖江ぐらしのホンネ!
Q.鯖江の魅力を教えてください!
「つくる」がしやすい環境。「つくる」があふれている環境。
自分と年齢が近いコミュニティが存在していること。
場づくりにも興味があったので、今年、初開催となったさばえまつりに寄合から参加し、当日もボランティアスタッフとして参加しました。「つくるを祝う祭典」っていうテーマで、住民同士で出し物も考えます。地元の人や移住者がそれぞれやりたいことを意見し合って、お互いに受け入れて。おばあちゃんが教えてくれた民謡をみんなで踊ったり、素敵な人間関係だと感じました。移住者にはどんなやつだって目を光らすイメージがあったけど、鯖江では全く感じないですね。
Q.移住を考えている人にアドバイスはありますか?
一人暮らし用の部屋が少ないし、寂しいので、諸々の面で大丈夫であれば シェアハウス等に住むのがおすすめです!
私は①非積雪地域出身②職場近くにシェアハウスがない③河和田の多すぎるカメムシが無理で、泣く泣く賃料が高いまちなかの一人暮らし用アパートに住んでいます。
河和田でシェアハウスをしている同世代がうらやましいです…。
最近は、近所に住んでいる同世代の飲み会に参加させてもらってます。
Q.お休みの日は何をしていますか?
まだ新生活に慣れるので精一杯で…。ゆくゆくは卒業研究の続きをやっていきたいです!
大学の卒業研究では、、市販の毛糸を使わずに羊毛から毛糸を作って、日々の記録的に制作をしました。
幼少期からものづくりが好きで、母の友人と手芸クラブを創設し、アイロンビーズやビーズアクセサリーに没頭してました(笑)
お金を払えばなんでも買えてしまう時代ですが、自由な時間が少なくなる社会人になっても、つくることをやめたくないと思っています。


株式会社キッソオ
連絡先:TEL 0778-54-0355
MAIL kisso@kisso.co.jp(担当者:吉川)
住所 〒916-0019 福井県鯖江市丸山町4丁目305番2