【移住者インタビューvo.7】鯖江市地域おこし協力隊 木村鼓さん


石川県中能登町の塗装屋を営む家の3兄妹の長女として生まれた木村さん。幼いころテレビで見た舞台装置に憧れを抱き、この手で作ってみたいと建築学科を目指すようになったそう。芸術と建築の両方を学べる大学を探して、京都精華大学の建築学科に進学。
現在は河和田を拠点に県内外の学生を受け入れ、学生のもつ知性・感性・創造性を有効活用しながら、河和田地区の活性化を図る「河和田アートキャンプ」の事務局の運営に取り組んでいます。
青春時代を過ごした河和田。
いつの間にか特別な場所になっていた。

ー初めて鯖江に訪れたきっかけを教えてください。
木村「大学2年生の時に古民家をリノベーションできるよって友達に誘われて、気付いたら鯖江に連れていかれました(笑)その時は、夏休みに3週間くらい滞在して、学生拠点の古民家のウッドデッキを作りました。
単管や水平器などの使い慣れない材料や工具に苦戦したり、課題に追われる大学生活とは真逆のゆる~い時間を過ごしたり。
突然、地域の人に観光に連れてかれたりなんかもありましたね。そんな出会いが結構楽しくって、今思えばそこで初めて、河和田以外の鯖江市の魅力を感じましたね。」
ーはじめて訪れた場所がどんどん特別な場所になっていく感覚、素敵ですね。地域おこし協力隊になる決心も、そういった思い出が後押ししたのでしょうか?
木村「大学2年生の冬に新型コロナウイルスが蔓延して。サークル活動も中止になって、人と接する機会が極端に減って行く中、就職活動も控えていて…。大学4年生になって就職もいろいろ思い悩んでいた時、河和田アートキャンプの事務局をやらないか?と誘われ2つ返事で地域おこし協力隊になることを決めました。」
ー即決だったんですね!不安ではありませんでしたか?
木村「学生時代からの関わりで、どんな人がいて、どんな暮らしがあるか想像できたから深く迷わずに決断できたのかな。たぶん、知らないまちの地域おこし協力隊だったらやってなかったと思います。」
活動が制限された1年目。
不自由だったからこそ新しいことに挑戦できた
ー地域おこし協力隊ではどんなお仕事をされているのですか?
木村「鯖江市の地域おこし協力隊として、河和田アートキャンプの事務局を担い、県内外の大学生や若者の興味・関心から河和田地区や鯖江市内でいくつかのプロジェクトを通して地域課題や地域の方と密接にかかわる関係人口を増やすサポートをするお仕事をしています。」

※京都の大学に通う大学生と、河和田アートキャンプと地域の方々で作った地酒をお祭りで販売。
ー学生と地域をのは相当難しいと思います。コロナの影響もあり、より大変だったのではないですか?
木村「2年間ほど鯖江での活動は全くできていませんでした。コロナが少し落ち着いてからは、マスク着用、日々の体温測定などを徹底して活動が少しずつ始まりました。コロナ前のアートキャンプの活動を知っている学生は卒業してしまい、ほぼ0からのスタートになったのはつらかったですね。」
ーこれまでとは全く違う環境で苦労も多かったと思います。そんな状況でも、印象に残っている活動はありますか?
木村「そうですね。福井鉄道の各駅にアート作品を展示する『福井アートライン』や古民家にアート作品を展示する『古民家アート』など、河和田だけでなく鯖江全域に活動の幅を広げたことで、鯖江市や越前市に移住したOBOGやアーティストさんとの繋がりができました。いろんな分野の人と出会えることで、毎日新しい発見ができることが楽しいです!」


ひょんなことから始めた同期の移住者と始めたシェアハウス
ー木村さんは現在、同じ大学の同期で、学生時代に河和田アートキャンプで一緒に活動をしていた漆器職人の友人とシェアハウスをされていると伺いました。おもしろいご縁ですね!
木村「まさか大学時代の友人とシェアハウスするなんて思っていませんでした。同じ大学でしたが、学部もアートキャンプでのプロジェクトも違って、河和田での食事のときに話す程度の関わりくらいしかなかったので…。」
ーいくら知り合いでも他人と暮らすのに抵抗はありませんでしたか?
木村「アートキャンプ自体、河和田の拠点でいろんな学生と共同生活をしていたのであんまり抵抗はなかったですね(笑)だからお互いに人と住む生活力みたいなものはある程度備わっていたと思います。お互いに働いている時間帯が違ったりするので普段の生活リズムは合わないんですが、友人とはすごく波長が合うんです。ずっと顔を合わせるわけではないんですけど、時間が合えば一緒にご飯を食べたり映画を見たり。そんな仲です。(笑)」
将来は、地元の人の挑戦をカタチにできるような人に
ー地域おこし協力隊の任期は3年間と長くも短いと思います。任期終了後の展望をお聞かせください。
木村「コロナも落ち着き、伝統工芸やメガネなどのイベントや新しいお祭りなどが増え、まちに活気が戻っているのを実感しています。今は、都市の大学生に鯖江の魅力を知ってもらう仕事をしているからこそ、今後は地元の人が地元で鯖江の魅力を発信できるような、うずうずしている地域の方が挑戦して楽しめるような場所を作っていきたいです。」

木村「2年程前から、鯖江に移住してきたメンバーで、河和田の人々が河和田を楽しむ市場!と題して、「第四サンデーかわだ市」を企画しています。地元の人が出展して、地元の方が遊びにくるようなイベントにしようって話し合って決めました。小さなところからは始めていきたいなと思っています。」
木村さんにとって鯖江市河和田地区のまちは生まれ故郷ではないけれど、ふるさとと言えるほど思い出と記憶が詰まった地域であることが、木村さんの笑顔から伝わってきます。
まだまだ河和田は進化すると前を向く木村さんの今後が楽しみです。

教えて!鯖江ぐらしのホンネ!
Q.鯖江のお気に入りの場所やよく行く場所を教えてください!
河和田アートキャンプの拠点がある古民家のお隣に住んでいる、宮永さんの家の倉庫です!アートキャンプの大学生も大好きな、しんちゃん(柴犬)がいて、休憩がてら会いに行って癒されています~
Q.移住を考えている人にアドバイスはありますか?
地元の人と仲良くなることですかね!
地域の会合や会議などに参加すると、いろいろな情報が聞けるので、知り合いも増えるし、家族のように私の相談にものってくれます。いつの間にか仕事に繋がることも多いので、仕事とプライベート区切りなく、いろんな人と仲良くなれるように心がけています。
Q.鯖江の魅力を教えてください!
やっぱり、人ですかね~!鯖江の人はとても優しくて、お茶目で、ほんとうにかわいいです!