乾レンズ | 光あるところにレンズあり。進化を続ける色付きレンズ専門メーカーの仕事。

めがねフレームを製造する会社が集積する鯖江で、サングラス用の色付きレンズを製造する会社、株式会社乾レンズ鯖江支店。主にブランドもののファッショングラスに携わっておられます。

出戻りスタッフの梶縄さんが一度外に出たからこそ分かった会社の魅力、それを受け入れる会社の懐の深さ。今回は、そんな魅力的な会社を紹介します。

たくさんのめがね関係会社が集まる鯖江市丸山町にあります。

大阪に本社があり、めがねのまち鯖江では色付きレンズの企画や製造を行っている、乾レンズ。

今回お話を伺ったのは、営業部部長の吉田圭助(よしだ・けいすけ)さん(右)と加工課の梶縄和政(かじなわ・かずまさ)さん(左)。

仕事の面白さ、時代に合わせて変化する会社の柔軟性、苦労を乗り越えたエピソード…。明るいお二人の話に終始笑顔が耐えない、そんな取材でした。同業者からも愛される乾レンズの中身、ぜひ知って下さい。

攻めの営業と攻めの製造。移りゆくトレンドを超えて攻め続ける姿勢。

色付きレンズメーカーの仕事というのはどのようなものなのでしょうか?

「一言でいうと、色を扱う仕事です。透明なレンズをいろんな色に染めて、お客様に提案しています。現状動いている色だけで300色ほどあって、過去に作った色はもう数え切れません。レギュラーカラーの他に、OEMで作っている各ブランド専用のカラーだけでも100色以上あります。」

顧客の8割が海外のため、各国のトレンドに合わせて仕事をしているという吉田さん。海外ではサングラスをファッションでかけるというよりも、遮光として必要だからかけておられるそうです。

「アメリカ人とイタリア人と日本人が考えるブルーは違います。目の色が違うのと、キャンパスである肌の色が違うので、日本人の考えるブルーはくすみが多いんです。白人がブルーをかけると発色が良くなるけど、黄色人種だとビビットなブルーは浮いてしまう。そういった感性の違いを武器にして営業しています。

営業職のやりがいは「お客様の驚く顔」と「受注が来たとき」だと話す吉田さん。この人の心を掴んだと、嬉しくなるそうです。海外とのやり取りが中心の仕事で、どのような視点を持って取り組まれているのでしょうか。

「メガネ=フレームという印象が強いですが、自分たちが考えるのは各フレームに合うレンズです。だから、展示会でたくさんのフレームを見てからスタート。過去のサンプルを引っ張り出してきて今風にアレンジしたり、色を足したりなどして、実験を重ねています。OEMは言われたものを作れば良いので楽ですが、僕たちは言われる前に別のものを出す逆提案型。攻めの営業をしています。

乾レンズに入社されて18年目のベテラン吉田さん。仕事内容に関しては毎年毎年違うことを取り入れておられるそうで、長くいるうちに、この会社ではこんなことも出来るのかと発見していかれたそうです。続いて、加工課の梶縄さんにもお仕事の内容を伺いました。

「主にサングラスレンズを、お客様から預かったフレームに合わせて加工しています。今まではXYZ方向に動く3軸加工機だけだったんですが、新しく回転傾斜軸を追加した5軸加工機が導入されたので、使用方法を猛勉強しながらやっています。」

ツールが大きく変化したため、苦手だったCADを勉強しながらできることを増やしている途中だという梶縄さん。今までは側面を加工することで形にすることしか出来なかったけれど、機械を使いこなすことができれば、様々な形が作れるようになったそうです。

「刃の形状、角度、素材などを研究しながら、削り出しています。他にも3Dプリンタでレンズに印刷を乗せる技術なども駆使して、サンプルを作ったりもします。機械に関することは全て把握しないといけないので、頭がパンパンで、今めちゃくちゃ苦しいです(笑)」

こういうことが出来るという技術提案は早く出した方が良いという梶縄さん。「攻めの営業」だけでなく「攻めの製造」も同時に行う乾レンズの社内には、熱気がこもっていました。

帰ってきた古巣。外で見てきたものと、中にあった大切なもの。

梶縄さんは一度乾レンズで働いた後、他社に転職してから戻って来られた出戻り組。なぜ再び乾レンズを選ばれたのか、伺いました。

「もともとはサングラスに興味があったわけではなく、生産・製造業という理由で弊社を選びました。一度退社して他社に勤め始めてから、乾レンズにはいろんな魅力があることに気付き、戻りたいと思ったんです。中にいたときは分からなかったことが、めがねフレームや部品など色んなものに触れて、改めて乾レンズの良さを痛感して戻れないかと部長に相談しました。」

「個人の成長という意味では一度外に出て良かったのかもしれません。」

飛び出しからこそわかる古巣の良さ。自分が本当にやりたい仕事とは何かを見つめ直し、戻って来られた梶縄さん。

「外に出ると、乾レンズ話はよく出てくるんです。他社からすると気になる存在なんでしょうか。『元乾レンズです』と言うと、良いことも悪いこともいっぱい言われて、めがね業界の中でも一目置かれていると感じました。」

「色付きレンズ専門でやっているところは珍しいのと、うちはハイエンドしか相手にしていないから、何をやっている会社なのか外部からよくわからないということがあるかも知れません。海外からの評価は良い声を聞くことが多いですね。」

「今だから思いますが、乾レンズはとても自由な会社だと思います。機械の配置や加工方法など、生産効率を考えながら、過去の乾レンズのやり方に囚われずに今までのノウハウを覆すようなこともやってきました。入ったときは自分が一番若かったから、スタッフの皆さんは親みたいに見守ってくれていたのかも知れません。」

乾レンズのカルチャーをしっかりと実践しておられるお二人から見て、応募されるとしたらどのような人材が向いていると思いますか?

「元気な人ですね!体育会系の。元気で明るい人は間違いなく合うと思います。

「やっぱりポジティブな人間でしょうか。あとは好奇心旺盛な方。緊急で求めているのは英語が話せる人ですね。実際、私は英語が話せなくて今めちゃくちゃ苦労しています。外国の機械の使い方について、今はLINEでなんとかやり取りをしていますが、今後は話せるようになっていきたいです。」

「仕事に関して制限は少ないので、好き勝手思い付いたもの、大きい金額がかからなければ好きなものを自由に作れば良いんです。失敗したこと成功したことを共有すれば、それは会社の財産になりますから。」

お二人の話を聞いて、若かりし頃の梶縄さんを見守った乾レンズの社風は今もしっかり根付いていることを感じました。

仕事にはトラブルもある!トライ&エラーで一緒に成長していこう。

話は盛り上がり、大変な仕事や忘れられない出来事など、たくさんのエピソードを教えていただきました。戦友のようなお二人がどのようなピンチを乗り越えて来られたのか、少しだけ仕事のエピソードをお伝えします。

「手作業で作っているレンズの形がどうしてもフレームに合わなくて、夜中までみんなで残ったことがありました。ヤスリで少しずつ削って調整するんですが、なかなか形が合わずみんな泣きそうになっていました。」

「フレームには設計図があるんですが、その通りに仕上がって来ないこともあります。めがねが工業製品でなく工芸品と言われるのはそういうところなんです。こちらは出来上がったフレームに形を合わせる側なので、違いを発見しなければならず、苦労します。」

「最終的に競い合い・寄り合いながらを繰り返して完成させることができ、達成感がありました。仕事量が多くて作業が追いつかないこともありますが、嫌々ではなく、祭りだ!という感じで、気合で乗り切ります(笑)。」

「どうしても体育会系っぽくなっちゃうのが乾レンズらしさだと思います(笑)」

何事も大切なのはトライ&エラーだと語るお二人。それぞれの持ち場は違えど、お互いへのリスペクトを常に感じた取材でした。

最後に、鯖江市在住の吉田さんと福井市在住の梶縄さんに、鯖江市のおすすめポイントを聞いてみました。

「近所の居酒屋『みきのや』が、種類豊富で美味しいです!寿司なら『丹波や』です。寿司とラーメンのランチでお腹いっぱいになれます。」

「コスパが良いのは『木々亭』!。あとは奥様方の憩いの場『ヴィヴァーチェ』。なぜか食べ物の話だけになりましたが(笑)。他にも鯖江の良いところはたくさんあるので、直接聞きに来て下さい。」

取材の中で、吉田さんの言葉で「光あるところにレンズあり」というものがありました。色んなところにレンズは存在していて、まだまだ進化させることができると。鯖江にいるからといってめがねこだわらず、業態は変えていけば良いと語るお二人がいる乾レンズは、一緒に成長していける恵まれた環境だと思いました。

乾レンズの姿勢が、何か一つでもあなたの感性にひっかかったなら、ぜひチャレンジしてみませんか?自由な分、結果が求められますが、やりがいのある仕事なのは間違いありません。

【連絡先】
株式会社乾レンズ鯖江支店
0778-51-5447
info@inuilens.com

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