プラスジャックvol.2 | 会社の将来的への危機感。若手二人の奮闘で社内が変わっていく。

ちょうど一年前に取材をさせていただいた「プラスジャック株式会社」。

新しい仲間を募集する記事を公開した後、会社にどのように変化があったのか。追いかけるべく、追加取材を行いました。

前回の記事はこちら。
「少数精鋭の環境でこだわったものづくりを。めがね素材を使った「問題解決の仕事」がここに。」

今回改めてオフィスを訪ねてお話を伺ったのは、昨年度お話いただいた津田社長と久保さんに加え、2019年10月に入社された笹本早夕里(ささもと・さゆり)さんの3名。

1年前と比べて会社がどのように変化したのかと、今後やっていきたいことについてお聞きました。

3人の役割分担で社内にはたくさんの変化が。

津田「1年前と比べて、すごく良くなってきていると思います。久保さんは相変わらずむちゃくちゃ頑張っていて、入社2年目にも関わらず仕事がかなり出来るようになっています。最近は事業を伸ばすだけではなく社内の業務改善も少しずつ動かしています。結構無茶振りをしても、久保さんが応えてくれるのが頼もしいです。」

久保「業務改善をやらないと、自分の仕事が多すぎて回らなくなるんです。ケンカするぐらい誰にでも何でも提案して、改善できることを見つけては検討していきます。」

津田「加えて新人教育マニュアルも作って欲しいとお願いしています。制作中のマニュアルを笹本さんが読んで、わからない箇所を自分で改善しながら追加していくことで、マニュアルをどんどん更新していければと思っています。」

新人の笹本さんは「さばえの仕事図鑑」に掲載されていたプラスジャックの求人募集を見て、2019年10月に入社されました。事前に記事を読んでおられたので社長や社内の雰囲気がわかり、安心して応募できたとのこと。

笹本「私は鯖江市出身で、この会社に来る前は携帯ショップに勤めていました。

転職先をめがねの仕事に限定していたわけではありませんが、ものづくりをしていて、デザインやアートとも関わっている会社で仕事をしたかったんです。」

昔からものづくりに興味があったという笹本さん。これまでは全く違うお仕事をしておられましたが、転職を機に地元鯖江に根付いた産業の仕事に携わると決めていたそうです。

笹本「まだ働き出して日が浅いですが、やることがいっぱいで楽しいです。毎日忙しいですが、残業が無いので体が疲れませんし、ストレスも少ないです。久保さんに毎日色々なことを教えていただきながら、製造に関わったり、ホームページの更新やSNSで発信したり、催事に立ったり、今月は東京の方へ販売にも行ったりと、充実しています。」

津田「彼女の接客はすごく上手でした。10月に開催された『さばえものづくり博覧会』では、売り上げはほぼ無いものと思っていましたが、結構売ってくれました。周りの出展者は知り合いばかりだったんですが、めちゃくちゃ褒められていましたし、彼女は何年目ですかと聞かれました。

笹本「製造の仕事もさせていただいているので、お客様に作り方を説明できるのが大きいです。社会見学の中学生にも作り方を教えてあげたりとか。お客様を見て、どんなことをお伝えするか変えていますが、うちは女性をターゲットにした商品が多いので、会話をして仲良くなった方が安心して買えるかなと。」

津田「プラスジャックの商品は子どもを持っている女性がターゲットなんです。それは僕が売っていても絶対売れない。今まですごく無理があったので、嬉しい変化です。」

今後は、松屋銀座の『ニューフクイ』という催事での販売と、『IFFT/インテリアライフスタイルリビング』という企業向けの商談展示会にも立ってもらって、販売経験をして欲しいと思っています。今プラスジャックでは自社で作ったものを自社でしっかりと売る体制を構築しています。売り場が無いと作っても売れません。売り場を作って、売り場の声を拾って、商品を作れたら良いと思っています。」

販売は津田社長、久保さん、笹本さんの3名で担当されています。鯖江を訪問されたお客様に喜んでもらえるように、今後は本社のショップでめがねの検眼サービスも導入されるそうです。

悩んだ末の採用。製造を中心にしつつもスキルを活かした業務を。

津田「笹本さんからメールが来たときには採用をするかとても悩んでいました。今年から景気が悪くなるという読みをしていたので、どうしようかと。」

笹本「返事が無かったので直接電話してみたところ、社長は『あぁ、求人。……一応しています……よ?』という感じで、本当に応募して良いのかなと不安に思いました(笑)。転職先を決める前に他所の会社や工場もたくさん見た方が良いと津田社長にアドバイスしていただいたんですが、web記事を読んで自分の中では気持ちは決まっていたので、面接をお願いしました。」

津田「社長としては、製造業を経験したことが無いのなら、他のところを見れば良し悪しが分かって良いのではという思いでした。入る前に見るのと、入ってから見るのは全然違いますから。」

久保「私は前職も製造業だったので、社長のアドバイスはすごく重要だと思っています。製造業には女性が少ない現場が多いので、前回もお話しましたがトイレを見ることが大切です。」

笹本「そのあたりは仕事図鑑を見て、私よりも若い女性がいて、トイレが綺麗だとわかっていたので安心していました。男女別っていうのも重要で、しかも1階と2階両方にあるんです。」

津田「社内環境は良くなって来たよね。最近2階に畳コーナーもできました。冬だからこたつを置こうかなと思っています。」

久保「良いですね~。でもその前に電子レンジが欲しいです! 環境はかなり変わってきたと他のスタッフも言っています。トイレ以外にも、会社の今後を考えるとアナログでは時間の限りもあり将来的に何もできない会社になると考えていて、簡単なところから業務のデジタル化を実装しています。」

もともと化学系メーカーで、検査現場をロボットが歩いているようなデジタル化された職場にいた久保さん。プラスジャックの社内改革を担っておられます。

津田「会社のデジタル化をしたいと思っていたら久保さんから連絡が来たんです。そして、今度はSNSを強化したいというときに、携帯ショップ勤務でSNSの講師もしていた笹本さんが来てくれました。タイミングがバッチリすぎて、震えました。」

笹本「転職直後、SNSのIDとパスワードが同じで危険だったので前職を生かしてダメ出しさせていただきました(笑)」

鯖江のめがね産業のこれからとプラスジャックの戦略。

活き活きとした若いスタッフが育つ中、プラスジャックは今後についてどのように考えておられるのか、聞いてみました。

津田「新幹線が2023年に来ますが、その前に『ルックスオティカ』というレイバンやオリバーピープルズなどのブランドを保有する世界最大のアイウェアメーカーが、弊社の目の前に来るのが決まっていて工事が始まっています。年間2兆円くらい売る会社で、純利益で1500億円あると言われています。鯖江全体のめがねの総売上は650億円くらいしかないので、粗利2年分くらいの仕事を止めても痛くも痒くもない世界一の会社なんです。鯖江のめがね産業650億円の7割が輸出なのですが、ほとんどがこの関連会社です。鯖江で作り出すと、受注が止まってしまい、もしかすると鯖江の7割の仕事が無くなってしまい、仕事の取合いと価格競争になります。めがねのOEMだけやっている会社は厳しくなるのは間違いない。だからプラスジャックでは自社製品の販売に力を入れたいと思っているんです。」

世界一の企業が目の前にあるのに関わらず、素通りしてプラスジャックに人が来るような構想を練っているという津田さん。立地的に目の前に来てもらったので逆に良かったと話します。

津田「予想ですが、ルックスオティカにはショップは無く、流通の拠点にしかならないと思います。鯖江は流通の拠点として世界に輸出するのには不便なので、恐ろしい話ですが10年ぐらいしたら欲しい会社を全部買収して他に行くのではないかと想定しています。最近も世界7200店舗を持つオランダの眼鏡店チェーン『グランドビジョン』を買収しました。そんな数のめがねは今の鯖江の生産力では作れないので、これから鯖江は変わっていかざるを得ません。」

鯖江のめがね産業が大きく変化するかもしれない今後、アセテート素材をメインに、めがねだけでなくアクセサリーや防犯グッズなどの雑貨を社内一貫生産で手がけている会社プラスジャックはその変化のど真ん中にいらっしゃいます。

業務改善も進み、これからどんどん仕掛けていくと話すプラスジャックの挑戦から目が離せません。

【連絡先】
プラスジャック株式会社
TEL:0778-53-1885
MAIL:info@plusjack.com

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