ボストンクラブ | 任せてもらうことで確かな実力を。業界の先端を走る、企画デザインの仕事。

「30年以上会社を経営していて思ったのですが、地域や業界とのつながりの中で価値を生み出し貢献できる会社が、人に選ばれる企業になっていくんです。」
その話を聞いたのは、鯖江市三六町にある自社ビルの一室。

隣に広がる三六公園からシームレスにつながるこのビルは、ショップ・ミュージアム・ラボ・フリースペースが一体となった、株式会社ボストンクラブの自社ビルです。

工場を持たず、めがねの企画・デザイン・販売に特化した仕事を行うボストンクラブ。東京銀座にある直営店も含めて、28名のスタッフがおられます。

「どんなことをして生きていきたいか」を大切にする時代だからこそ、多くの人の人生において就職や転職は重要な選択です。この記事は、その後押しができることを願って書きました。

ファッショングラスの黎明期を切り開いてきた、業界の動きを読み取り常に進化する会社。

お話を聞いたのは。小松原一身(こまつばら・かずみ)社長、経営企画室リーダーの長谷川信也(はせがわ・しんや)さん、デザイナーの狩山晃輔(かりやま・こうすけ)さん。役職も担当もバラバラの、鯖江市にお住まいの3名です。

まず、ボストンクラブがどのような会社か教えてください。

小松原「ボストンクラブは1984年に創業しました。当時は医療器具としてのめがねしか無かった時代から徐々に変化し、ちょうど若者がファッションとしてめがねをかけ始めた黎明期でした。私は服装に合わせてファッションの一部として使用できるめがねが必要と考え、当時、勤めていためがね商社から独立して東京のアパレル企業と協力しながら、めがねやサングラスを数多く手がけてきました。

その後1996年にはオリジナルブランド『JAPONISM』を発表されます。シンプルでありながら存在感のあるフレームに機能性と実用性を加え、遊び心をもエッセンスに取り入れたフレームが評価されます。

小松原「今は『JAPONISM』『BCPC』『MUGUET』『BOSTON CLUB』という、4つのオリジナルブランドを持っています。うちはファブレス(工場を所有せずに製造業としての活動を行う企業のこと)なので企画デザインが中心の会社で、インハウスデザイナー5名が各ブランドを担当しながら、新型のモデルを年間約100型のめがねを作っています。」

変化の早いファッション業界、鯖江と銀座にある直営店でユーザーとコミュニケーションを取りながら色々なことを吸収し、商品開発に活かしておられるとのこと。

小松原「2000年以降、海外の安価な商品が流通するようになり、多くの消費者がそちらで購入されるようになりましたが、鯖江では手作業でのものづくりを大切にしながら、高品質なものをお届けしています。」

現在は16カ国に輸出されていて、徐々に販売網を広げておられます。価格や規模拡大での競争は資本力のある大手にしかできないので、違う部分で勝ちに行くために、歴史やものづくりの背景も含めて、行政とも協力しながら産地を盛り上げていくということをやっておられるのだとか。

小松原「作りすぎても価格競争になってしまうので、取引先を増やしすぎないようにコントロールしながら、大事な取引先と長い付き合いをさせていただくようにしています。」

このビルの3階にはラボがあり、3Dプリンタや3次元切削加工機などの最新マシンが完備されているだけでなく、スマートグラスや素材研究など、めがねに関する様々な実験が行われています。

各社用にカスタマイズされたスマートグラスが並ぶラボ内。

ウェアラブルデバイス取り付け専用のめがねフレーム「neoplug」もここから生まれました。

大手だから安心、という時代でない今。時代が猛スピードで変化している中、「変われる」ということが中小企業であるボストンクラブの強みだと感じました。

ものづくりの醍醐味はプロセス全てに関われること。個人を育てる会社の役割とあり方。

山が大好きで週末は各地に出かけるという、デザイナーの狩山晃輔さん。入社2年目で32歳の彼は、縁あってボストンクラブに入社したひとり。

出身は京都府。立命館大学を卒業後、京都精華大学でプロダクトデザインを学びます。担当教授からの薦めもあり、就活時にボストンクラブへアプローチしますが、当時募集をしておらず断れられてしまいます。

狩山「先生に声をかけてもらい、私もめがねの小さい構造体の中に凝縮された構造などに興味があったのですが、タイミングが悪くて。卒業後は新潟の家電メーカーに就職したのですが、5年くらい経った頃にもう一度めがねの仕事がしたいと思い、再びボストンクラブに話を聞きに行きました。」

そのときも募集はしていなかったそうですが、熱意を伝えて入社することができたそうです。鯖江には他にもめがねの会社がたくさんあるなか、なぜボストンクラブを選ばれたのでしょうか。

狩山「入るまで実際の会社の中身は分かりませんが、webで情報を見ていて、新しいし洗練されていて楽しそうだったから、他のめがね屋は考えていませんでした。見学に来たときにデザイナー自ら工場に行き、メッキ屋さんで色を選んで…という説明をしていただき、全ての工程に関われれるところが良いなと。前の会社は分業で、絵を描いて設計部門に渡して終わりだったので面白くなかったんです。ここでは自分でものづくりのプロセスを経験できるんだと、魅力的に映りました。

小松原「短期間で企画をして、完成品を市場に出さないといけないというめがね産業独特の流れがあるため、普通だと5年~10年ほど修行してからになるのですが、うちでは入社してすぐに見積もりやプロトタイプ作成、工場や材料屋との折衝も、全部自分でしてもらうようにしています。それはなぜかというと、会社組織の中で、個人の感性を育てていくということが重要だからです。

ファブレスだからこそ、地域や業界に価値を生み出し貢献できる人材がいなければ成り立たない。自分だけが儲けるのは簡単だけど、そうではないと気付いたと小松原社長は話します。

小松原「こんな小さな町だと兄弟や親戚も近くで働いているし、子ども同士も同級生だったりする狭い世間なので、自社のことだけで完結していてはダメなんです。物事を広く捉えられる尊敬すべき先輩方を見て、後輩たちもそうなっていってほしいと思いますね。」

鯖江のめがね業界の中でも兄貴的な存在の小松原社長。高度成長期には競争だったけれど今は協力していかなければならない時代になったと、高い視点から業界全体を捉えておられます。

苦労だらけだけど面白い。めがねを作っていく仕事の中身。

狩山さんがかけておられるめがねはご自身でデザインされたもの。めがねを企画された際のお話を伺いました。

狩山「これはJAPONISMというブランドの『sense』というラインのめがねです。最近流行っているオールチタンのフレームはかっこいいんですが、かけると耳が痛かったり、冬だと冷たいというデメリットがあるんです。それを解消するために着脱モダンパーツが付いていることが特徴です。」

誰がかけても似合うように気をつけてデザインされているという狩山さん。流行を意識しながらも、仕事でもかけれらるようなベーシックを意識されているそうです。

狩山「工程としてはまず図面を描いて、形に削ってみて人の顔に合うかどうかを確認します。その後メーカーに頼んで、一本だけ手作業でサンプルを作ってもらいます。そしてバネ性がしっかり出ているかなど、機能について確認していきます。」

企画立案から10ヶ月ほどで完成されたというこのめがね。素材にもよりますが、通常半年~1年ほどの期間で完成されるそうです。素人目にはわかりませんが、製作にあたり、どのような点に苦労されたのでしょうか。

狩山「全部苦労しましたね(笑)。一つ一つのパーツについて、メーカーとやりとりをして細かい話を詰めていき、苦労の末にこのメガネができています。週に1度社内でデザインミーティングがありみんなで検討するのですが、ダメ出しされることも多くて悩むこともありました。

土日のお休みはしっかり休むという狩山さん。山が好きで、金曜日の夜に山に行って日曜日の夜に帰って来るというハードスケジュールなことも。でも、そこを充実させることが上手く切り替えて良いものを作る秘訣なのだとか。

個性豊かなメンバーが集まる社内。直営店の販売スタッフも募集中。

ボストンクラブに入りたいという方はたくさんいらっしゃるかと思いますが、採用で意識しておられることはありますか?

小松原「現在社員は、東京にあるショップも含めて28名なんですが、年齢層が広がるようにバランス良く採用しています。現在平均年齢は38歳くらいですね。大きい会社なら複数人同時に採用できますが、うちくらいの規模の会社は百発百中で採用しないといけないんです。まずは希望者の潜在力を見極めて、デザイナーチーフと長谷川がジャッジ、最終的にが判断するという流れになっています。」

長谷川「単純に流れ作業で製造するだけなら誰でもいいのですが、うちはそうではないので、ものづくりが好きで人一倍熱意のある方を採用します。さらにそれだけではダメで、覚悟のある方だけが残っていくような状況ですね。木工や陶芸・和紙の産地は全国にありますが、めがねの仕事はここにしかないので鯖江に来るしかない。そんな環境でどうしてもデザインをやりたいという若い人が来たら受け入れたいとは思います。」

最終的に大切なのはフィーリングだという小松原社長。ボストンクラブではどのような人材が活躍できるのでしょうか。

鯖江直営店の外観。2017年10月にオープンしました。

長谷川「真面目はもちろんですが、明るくて協調性があって元気な若者が一番活躍できるかと思います。また、現在ショップスタッフも募集しています。初めは経験者を求めていましたが、なかなか良い人材がいなくて…。いつでもウェルカムです。今後の成長に向けて今からじっくりと育成しておきたいと思っているんです。

小松原「ショップスタッフは専門的なアドバイザーです。ファッション面もフォローしつつ、フィッティングや検査も行い、レンズ加工まで担当します。ただの販売員ではなく美容師さんのような感じですね。なので経験者を探していたんですが、今は、未経験の方を育てていくことも考えています。

狩山「めがねが好きな方が良いですね。ボストンクラブはみんな中途入社なので個性的な方が多いです。良い意味でボストンクラブに染まっていなくて、前の会社で経験されてきたことを活かせる方と働いてみたいですね。」

ビルの外に出ると、公園が一望できる素晴らしいロケーション。

最近入社された方は子どもが3人いるママです。今までお子さんがおられる方は採用したことが無かったそうですが、働き方改革もあり、実験的に採用の幅を広げられています。

個性豊かなメンバーが揃うボストンクラブ、良いスタッフが集まるのも、これまで小松原社長や長谷川さんが積み重ねてきた年月があるから。

めがねの仕事にどうしても関わってみたい。覚悟と熱意を持って仕事を探している方がいたら、ぜひ紹介したくなる会社です。インタビューをしたビル内にはショップやミュージアムもあるので、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

【連絡先】
株式会社ボストンクラブ
0778-52-9337
hasegawa@bostonclub.co.jp

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