酒伊編織株式会社 | チームワークで飛躍する。生地から製品まで、一貫生産ができる会社。

鯖江市東公園陸上競技場の近くにある、スポーツブランド「mizuno」の大きなロゴが印象に残っている方も多いのではないでしょうか。

生地から完成品まで、鯖江の中で一貫して作ることができる、高い技術力を持った酒伊編織。担当部署それぞれの技術を用いて、厚いチームワークでものづくりをされています。

今回お話を伺ったのは、(奥から)酒伊エンブロイ株式会社(※)のSTP(サプリメーション・トランスバー・プリンティング=昇華)事業部の替地正信(かえち・まさのぶ)さん、STP事業部兼アパレル事業部の小木拓也(こぎ・たくや)さん、アパレル事業部の八田裕幸(はった・ひろゆき)さん、総務部の水野陽介(みずの・ようすけ)さん。それぞれ、違う部所に所属しながらもお互いの仕事を理解されており、阿吽の呼吸でお話される姿に、風通しの良い社風を感じました。

※酒伊エンブロイ株式会社とは
酒伊編織の子会社として、平成4年に酒伊エンブロイ株式会社が設立。酒伊編織が生産する製品の二次加工を行い、刺繍加工や、転写加工、2年前に昇華の技術を取り入れたSTP事業をスタートされました。

 

一度は袖を通したことがありそうなウェアがずらり。

 

酒伊編織の主な事業は、アパレル製造。体操服、Tシャツ、ジャージ、ユニフォーム、インナー等の生産を行っています。会社の事業全体の9割はスポーツメーカーが企画したアパレル用品を、酒伊編織がサンプル作りから量産までおこなっています。

酒伊編織には鯖江市内に2か所の事業所があります。
桜町にある本社には、編みや織りを活かした素材の開発を行うテキスタイル事業部とアパレル製品の裁断を行うカッティングセンターがあり、東鯖江の工場では、アパレル事業部生産のすべてをコントロールする管理業務と縫製、検品、出荷までを行っています。

(水野)
「酒伊編織の特徴は、第一に一貫生産ができる所です。スポーツウェアの生産は50年前から始まり、生地の開発から生産、裁断、縫製をして完成までを酒伊編織で行えます。第二に「小は大を兼ねる」を合言葉に小ロット短納期に特化した生産システムを構築してきたことです。」

(八田)
「あとは、社員同士のチームワークが良いですね。経営理念である“豊かな経験で、品質第一をモットーに、さらなる飛躍を”を大切にしながら、経験を生かしたものづくりをしています。現場の人がいてこその仕事なので、働きやすい環境づくりをしていて、ピンチも協力してみんなで乗り越えるという社風が、強みだと思います。」

 

昇華を取り入れたい!大きな進歩に繋がった技術とは。

 

酒伊編織の子会社、酒伊エンブロイ株式会社には、「昇華」という新しい技術を取り入れた製品作りをおこなうSTP事業部があります。

替地さん(左)は、STP事業部の立ち上げに携わるために入社。替地さんが前職で得た昇華の知識を活かし、酒伊編織で長年裁断に携わってきた小木さん(右)と二人三脚で立ち上げを進めてこられました。

(小木)
「昇華とは、簡単に言うと白い布にプリントをする技術です。これまで、色や模様のある布は染色で白い布を染めたり、織りで表現してきたのですが、昇華は水を使わない染色と呼ばれていて環境面にも優しく、世界的に注目されている技術です。ニットでもメッシュ生地でも生地があれば、色はもちろん、柄もプリントすることができます。」

(小木)
「生地を染めるには機械の関係で、ある程度のロットが必要になります。しかしプリントだと小ロットに対応しやすいので、弊社が長年生産してきたスポーツチームのユニフォームなどの生産にも向いています。

技術を習得することが難しいことから「何年たってもモノにならない」という話を同業者所から聞いていて、他社と比べると導入や稼働が遅れてしまっていたんです。しかし、技術を持っていれば大きな力になることは間違いありませんでした。そんな中、替地さんに入ってもらったことによって、STP事業が動き始めました。」

 

前職の知識が酒伊編織で活かせるのなら。新天地での活躍。

 

替地さんが入社したのは5年前。もともと昇華などの技術を扱うお仕事をされていたんだとか。

(替地)
「前職の会社が福井から撤退することになり、どうするか困っていました。そんな中、酒伊編織が昇華の事業を始めたいとのことで、声をかけていただいたんです。正直、昇華について0から10まで知っていたわけではなかったので迷ったのですが、

『替地さんは昇華の知識が0ではなくて、1は持っている。その1を酒伊編織は欲しているんだ』と言っていただき、自分の経験で手助けができるなら、と思い入社を決めました。」

最初はプリンター1台からのスタート。小さな部屋で小木さんと替地さんの二人で汗だくになりながら、機械の使い方から試行錯誤を重ねてスタートしたそうです。

(最初に導入した機械は既に引退。今回特別に、当時の様子を再現していただきました。)

(小木)
「初期の頃は何を作れば良いのかわからず、とりあえず作ってみたのが犬の服です。本当にこれでいいのかな?と思いながら色々と作っていましたね(笑)。デニム生地の様に見えますが、実はデニムっぽい柄を印刷しています。」

(小木)
「コロナ禍でマスクが普及したり、レジ袋の有料化によって、エコバックの需要が高まるなど布製品の普及が進み、昇華の技術が色々なところで注目され始めました。昇華を取り入れて、新しいものを作っていきたいという思いで始まりましたが、思い描いていたよりも成長の速度が速かったですね。

特に、マスクやエコバックは今までやってきたスポーツ分野のアパレル製品には無かった品物だったので、どうやって作っていくのか悩みました。みんなで相談しながら、社内の色んな担当者と協力しながら形にしていっています。」

試行錯誤を重ねながら一緒に技術を学び、STP事業部は8名と拡大し、機械も1台から7台までに増えるなど順調に成長されています。

(小木)
「替地さんはデザイナーなので、引き出しが多いんです。こんなのは?とイメージを渡すとすぐに作ってくれます。熱心で試行錯誤に手を抜かない人なので『 替地さん無理していない?大丈夫か?』と声をかけながら応援しています。みんなに愛されていますね(笑)」

(昇華で制作した、替地さんデザインの5S活動についてのタペストリー。工場の至るところに貼ってあります。)

(小木)
「STP事業部ができたことによって、昇華で作ったものがほしいと言われるようになり、取引先の間口が広がりましたね。ミズノさんの製品にも採用していただけるまでの技術になり、Jリーグのサッカーチームのユニフォームにも採用して頂きました。アーティストのグッズのプリントなどの注文も相談を受けて生産しています。昇華は染色よりもエコなので、SDGsの面でも注目されており追い風が吹いています。」

 

会社理念は「社会貢献」

 

酒伊編織の原点は、糸から生地を作り始めたところ。
それに付随して縫製工場ができ、さらに裁断や縫製の二次加工の工場を増やしていき、現在の社内一貫生産の流れが整っていきました。現在ではSTP事業部が新設され、生地から企画ができる環境を活かしながら、ものづくりを追及して、つくれるものを拡大していっておられます。

(小木)
「我々は、実際にものづくりをしているのでこだわりが強いんですね。このメンバーを含めて「みんな」でやっていかないといけないと思っています。僕一人ではなく、チームワークで支えてもらっているという空気感があります。」

現在、東鯖江工場のアパレル事業部では求人をされており、材料の発注~裁断~縫製のアシスタント的な生産業務を行う生産管理職を募集中です。

(八田)
「縫製はミャンマーやベトナムからの技能実習生が20名程来てくれていますが、最長でも5年で母国に帰ってしまいます。今後、私たちの技術を残していくためには、酒伊編織のビジョンに共感し、技術継承をしてくれる人材を育成していきたいと考えています。願わくば、若い方に来てほしいですね。」

様々な種類のミシンがずらりと並ぶアパレル事業部の工場内。東京オリンピック前には、地元の方々からフェンシングで活躍している見延和靖選手(福井県越前市出身)の応援用のぼりの注文が入ったり、昇華と縫製など、小ロットでも対応ができる酒伊編織の持つ技術を活かした製品に注目が集まっています。

新しい技術が出てきたら、調査して、取り入れるという事を常にされてきた酒伊編織。これから、様々なものを作りやすくしたい、様々な人が求めるものを作り世の中への供給を増やしていきたいと、意気込みは尽きません。

熱いチームの一員となり、繊維を活かしたものづくりにあなたも挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

【酒伊編織株式会社】
https://sakaiamiori.com/

採用についての問い合わせフォーム
https://sakaiamiori.com/career/

本社
〒916-0027 福井県鯖江市桜町2丁目1-5
tel:0778-51-4640 (代表)

東鯖江工場
〒916-0041 福井県鯖江市東鯖江4丁目1-21
tel:0778-51-0158 (代表)

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