【さばえSDGs推進センター-vol:2/5】開設から1年。さばえSDGs推進センターで起こっていることとは。
ーー開設から1年が経ちますが、センターはどのように活用されているのでしょうか?
(関本)
現在の来場者は1日平均10数名あり、毎月約300名以上の方に来ていただいています。
県内外の中学校や高校、地元の女性会や壮年会、企業など団体の訪問もあり、多くの方々に来場していただいています。イベントやセミナーの打ち合わせにも来られています。オープン当初は新聞やテレビを見た方や、珍しいからという理由でご近所の方々もよく来られていましたね。ありがたいことにオープンから誰も来ないという日はありません。
ーー地元にも愛される施設なのですね。イベント企画もセンターの職員さんたちでやっているんですか?
(仲倉)
そうですね。イベント企画は職員でやっていますが、来られた方から「こんなことをやってはどうか」と提案をいただくことも多いです。毎月開催している「さばえSDGs CINEMAシェア」も、来場者からの提案から始まった取り組みですし、私たちとしてはSDGsに関わることだったら、何でもチャレンジしていこうと思っています。基本的に土日祝日は休みですが、イベントや研修会をやりたいという依頼があれば開館して実施しています。
(関本)
やっぱり市としてはSDGsを広げていかないといけないので、実現可能な事業をご提案いただけるというのは、ありがたいことですね。
ーー来てほしい来場者の層などはあるんですか?
(仲倉)
誰でも来てほしいと思っていますので、特に限定していません。学校や企業、福祉施設にしても、「一緒に何か取り組みましょう」というふうにお声がけしています。
(関本)
企業さんにももっと広げていきたいですね。SDGsを意識した事業を考えておられる方がいれば、是非ともお手伝いしていきたいという思いがあります。
(仲倉)
はじめは企業からの相談というのはあまり無かったのですが、センターに来た人から評判を聞いて来てくれる方が少しずつ増えて、以前と比べると最近は企業からのお問い合わせも多くなっています。企業の方にとっても身近になったのではないでしょうか。
企業にこそSDGsを。
ーー企業が「SDGsの取り組みをやってないこと」は不利になる時代なのでしょうか?
(仲倉)
SDGsの視点って幅広いんですよ。日々、メディアに取り上げられているニュースの中で「SDGs」とは書いてはいませんが、SDGsという視点に立つと「気がつくこと」「クリアになること」がよくあります。
今後、SDGsの視点に立って事業に取り組んでいない企業は、融資などを受けられなくなる可能性が高くなると言われています。ESG投資(「環境・社会・企業統治」に配慮している企業を重視・選別して行なう投資のこと)が注目されているように、投資家もSDGsの視点を持って企業を選ぶそうですから。
実際に鯖江の企業さんでも、海外に出荷ができなかったという事例も出てきています。将来的には、「女性役員が◯%以上いない企業とは取引しない」というような基準もできるかもしれません。そういう状態になる前に、企業さんにはSDGsに取り組んでもらいたいと思っています。
ーーSDGsには国際基準などはありませんよね?
(関本)
そうですね。基準はありません。SDGsは法的拘束やペナルティもありません。だから自由度が高く取り組みやすいと前向きに考えてほしいです
(仲倉)
金融機関においてもSDGsの指標化が求められています。融資の基準として「SDGsをやっているかどうか」が重視されていく中で、それを判断するための材料も必要になります。行政の補助金に頼るのでは持続可能ではないのでSDGsに取り組む会社が銀行等と課題解決していく中で、地域経済を活性化させるという、自立的好循環が重要だと国も強く言っていますので、この流れは確実に進んでいくと思います。
中国では食品ロスをする飲食店には罰金を課すなど、実際に国として取り組みに対応している事例もあります。やっぱり世界は少しずつ変わってきているんだと思います。
長野県では、「SDGs推進企業登録制度」があり、経済団体、金融機関、大学等支援機関と連携し「環境」、「社会」、「経済」の3側面を踏まえ、企業等が経営戦略としてSDGsを活用することを支援する制度があるなど、既に実装されている例もあります。「今から少しずつ準備して行きましょう」と、伝えていくのが私たちの役割かなと思います。
※次回に続く